日本には藍藻類の分類・同定を行うための適当な入門書があまりありません。そこで、ここではこれまでに日本で報告された属の特徴と、頻繁に観察される種、大発生が記録された種などを中心にして、形の特徴と同定のポイントを記述します。
以下に、浮遊性藍藻の各目の特徴を示します。
1.クロオコックス目 Chroococcales Wettstein 1924
単細胞である(栄養細胞のみで構成される)。多数の細胞が多糖類の粘質を分泌し、規則的または不規則的に集まって群体を形成する。
3.ネンジュモ目 Nostocales(Borzi 1914) Geitler 1925
細胞は一列に並びトリコームを形成する。異質細胞とアキネートをつくる(栄養細胞、異質細胞、アキネートで構成される)。トリコームは分岐しない。
4.スチゴネマ目 Stigonematales Geitler 1925
細胞は一列に並びトリコームを形成する。異質細胞とアキネートをつくる(栄養細胞、異質細胞、アキネートで構成される)。トリコームは分岐する。浮遊性のものは一属一種のみが知られている。
アキネート
トリコームをつくる栄養細胞が貯蔵物質を蓄積し、大型化し、厚い膜をつくり、都合の悪い環境に耐えるために変化した細胞。耐久胞子あるいは単に胞子と呼ぶこともある。
異質細胞
トリコームをつくる栄養細胞が透明感のある黄緑色に変化して、厚い膜をつくったもの。窒素分子の好気的固定のために特別に分化した細胞と考えられている。
栄養細胞
光合成をして、2分裂によって増える普通の細胞のこと。
トリコーム
細胞が連続的に、糸状に並んだものを藍藻ではトリコームと呼ぶ。トリコームが周りに粘質物を分泌し、鞘に被われた状態のものを糸状体と呼びトリコームと区別する。