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 日本学術振興会平成18年度科学研究費補助金を基に当館動物研究部の窪寺恒己(研究代表者)・篠原現人・西海 功および帝京科学大学の天野雅男が進めている「中深層性大型頭足類の分類ならびに生態、潜在生物量に関する基礎的研究」調査において、平成18年12月4日小笠原諸島の弟島北東沖約15マイルの地点で深海たて縄により水深約650mからダイオウイカを釣獲しました。

 釣り上げられたダイオウイカは外套長約1.4m、体長約3.5m、体重約50kg。縦縄の一番下に仕掛けたイカ針にかかったアカイカ(外套長約55cm)を長い腕で抱くようにして上がってきました。恐らく針にかかっていたアカイカを餌として抱きかかえたときに、腕がイカ針にかかってしまったものと思われます。海面では長い腕をくねらせ太い漏斗から何度も勢いよく海水を噴射して逃げようとしました。水の勢いからして、ダイオウイカの遊泳力はかなりなものと推測されました。体色は背側が明るい赤褐色で腹側は白く、生きている時の姿はとても美しいものでした。しかし、表皮が非常に緩く船に引き上げる際にその大部分は剥けてしまいました。

 ダイオウイカは小笠原海域や沖縄海域で過去に何度か釣獲された記録が残されており、今回の釣獲は初めての記録ではありません。沖縄のソデイカ漁師の橋本幸三氏は、ダイオウイカを釣り上げた画像をインターネット上に公表しています。ただし、今回の調査ではその一部始終をビデオカメラに収録しており、動画としてダイオウイカの生時の姿を撮影した世界初の映像記録となるものと思われます。このダイオウイカと映像は研究用標本・資料として当館に登録・保管され、分類および行動生態など詳しく研究される予定です。また、組織の一部は愛媛大学沿岸環境科学研究センターの高橋 真助教授の下で人為的汚染物質の分析が行われる予定です。

 我々は2002年より小笠原海域を中心に小型深海カメラを用いた中深層性大型頭足類の調査を続けており、2004年9月30日には水深900m付近で生きているダイオウイカの撮影に世界で初めて成功し、その成果は小笠原ホエールウォッチング協会の森 恭一博士と共著で2005年9月29日に英国の学術誌(Proceedings of the Royal Society B)から公表され、世界的なニュースとして取り上げられました。今回の成果もその調査の一環で、今後も調査チームはダイオウイカをはじめとする中深層性大型頭足類の調査・研究を進めていく所存です。



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